読み手の数だけある筈の物語を求めて旅に出る

※これは2020/10/19 11:00にnoteに掲載した記事の再録です(一部加筆)

小説と映画が好きな私が辿り着いたフロンティア

 いきなりですが、小説や漫画や映画やドラマを見たり読んだりして、エンドマークのその先を考えてみたり、書かれなかった隙間の時間に何があったのかを考えてみたり、したことないですか?
 私はある。めちゃくちゃある。寧ろ常にそうである。起きて意識を保っている時間の大半そうかもしれない。そこまで来るとやや狂気じみているが事実だからしょうがないし、知人に「現実に生きてないよね」と断定されたりする。抛っといてください。
 で、その先か前か隙間を読みた過ぎた私がある日いきなり出逢ったのが『オペラ座の怪人(ガストン・ルルー)』の二次創作である『ファントム(スーザン・ケイ)』でした。二次創作、まごうことなく二次創作。オペラ座の全部(小説も映画もミュージカルも) を下敷きにして、怪人の半生を新たに書き直した小説です。
 勿論、原作者とは関係がないし、ミュージカルとも関係がない。スーザン・ケイ女史が考えた「〝のちの怪人かもしれない〟エリックの半生」です。英国の大出版社ダブルデイから出版されました。舞台化もされています。
 いやこれ二次創作じゃないですか。二次創作ですよ。もう少し厳密に言えば二次的著作物です。
 こんな世界があるのか! というか、そりゃあるよね! と狂喜乱舞したわけです。好きな小説や漫画や映画の更に違う側面がそこに広がっている。考えて発表した人の数だけ存在している。フロンティア!

 

二次同人というもの

 当然の帰結として、私が辿り着いたのが二次同人の世界でした。もはや日本の一大カルチャーの座を占めに掛かっているこの世界で、私はうきうきと楽しく過ごしてきました。これホント楽しいんですよ、人の数だけ原作から派生したスピンオフが読めるようなものなので!
 なのですが、昨今、いよいよもって市民権を得て来たこの世界では、概ね「登場人物同士の言い表せないような膨れ上がった感情による人間模様」もうちょっと平たく俗的に言えば恋愛関係ないし性愛関係に特化されたものが主流になっています。寡聞にしていわゆる男性向けと言われる方面については詳しくないのですが、恐らく女性向け男性向けを問わず、その傾向は強いのだと思われます。
 特定のキャラクターAと特定のキャラクターBによるそれ、が主眼なわけですね。
 これはこれで大好きです。楽しい。楽しいんですけど、大体全部これ、になってしまうと、そうじゃないもの、を探すの超大変!! という難題にぶち当たりました。
 もはやプラットフォームとして最大級の安定感を誇るPixivさんなんかでも、その傾向は如実です。いわゆる女性向け二次同人誌を頒布しあうイベントは、そもそもいわゆるカップリング(特定のキャラクターAと特定のキャラクターB) を元に全てが動いていたりします。いわゆるいわゆる我ながらやかましいのですが、そうじゃないものもあるからこう、こうですね!
 いやいや、特定キャラクターの巨大感情じゃない作中のワンエピソードや勝手にこうだったらいいなと作り上げたスピンオフストーリーやエトセトラが読みたいんだけど、行き着くのが大変でござる! という気持ちがどんどん募ってきてしまいました。

 

勝手にnoteにフロンティアを求めていたテスト(過去形)

 というわけで、考えあぐねた私が思いついたのが、noteでした。
 noteはクリエイター支援を謳っていて、エッセイを中心に、テクストが読まれやすい土壌です。(残念ながら縦書きにもならないしルビも振れないんですが、これについては延々カイゼン要望しているので、いつかは実装されるといいな!)
 世の中の人、たぶん一度は小説や漫画や映画やドラマを見たり読んだりして、エンドマークのその先を考えてみたり、書かれなかった隙間の時間に何があったのかを考えてみたり、したことあると思う。
 それを、見せて欲しいな! という。noteで。
 更にそれを読んで「私は違うなー!」「俺はこう思った!」とわいわいやれたらそれもとても良い。感想ってその個人だけのものだけど、他者と語り合うための感想文ってのもあって、あなたはそう読んだのね! を知れるのは実は物凄く楽しい。作者だけが楽しいわけじゃないんですよ感想って。そういうものも、noteは書きやすいんじゃないかな。だってnoteは引用も貼り付けもとても簡単だ。よし!
というわけで、私はいきなり、『もののけ姫(スタジオジブリ)』の二次創作小説をアップするという暴挙に出たのでした。賛同してくれた友人やTwitterのフォロワさんが早速感想文を書いてもくれた。凄い、楽しい!(書いていただいた感想文は「Impressions」に掲載させていただきました!)

 noteはPixivさんと違って、いわゆるオタクを自認する人たち以外にも広く利用されているし読まれているし、そういう人たちの考えた「オレの最強の続編」だとか、「あったかもしれない幕間」だとか、ぜひ読みたいし、読みあって欲しい。これだけコンテンツの溢れ返っている現在、誰もがそうやって「書く」事をやってくれたら嬉しい。そういう二次創作文化にも、もっと市民権を得て欲しいんだ! ぶっちゃけると私が読みたいんだ!

 と、以上、私がnoteにいきなり二次創作小説を載せた理由とご提案でした(過去形)。
 どうでしょう、楽しそうじゃない? どう?
 私はここから、読み手の数だけある筈の物語を求めて旅に出たい。面白がってやってみてくださる方がいらしたら、とても嬉しいです。

 だったんですが、立て続けにnoteとその運営母体のメディアとしての姿勢に多大に首を傾げざるを得なくなった結果、noteからは撤退を決めました。ので、何かどこかで新しいプラットフォームが出来る事を願いつつ、こうしてサイトに再録をしております。

 

以下余談

二次的著作物の広がりを願っている

 何故か本邦では映像の「ノベライズ」や漫画のそれって「ファンは買うだろ」的な扱いで、さほど真剣に作られていない印象がありまして、そこがとても残念です。
 現状もはや少年漫画だって大人も夢中になるものなのに、いつまでも「少年少女向け」と「大人が思っている子供騙し」みたいな事になっている。子供騙しに子供は騙されない。児童向けの豊かさを直視していただきたい。無茶苦茶面白い子供向けは、大人だって無茶苦茶面白くて夢中になるものだよ。
 もうちょっとついでにいえば、子供向けではないそれ、個人的にはゲームのノベライズで伊藤計劃氏が書いたものや、アメリカから逆輸入されたバイオシリーズのノベライズなんかが余りにも面白くて、最近だと進撃の巨人の前日談小説とか、幾らかウキウキ読んだものもあるわけですが、どうにも主流とは言い難いのが残念なんですよ。
 漫画も読まれないのに、みたいに言われますが、それでも爆発的に読まれるコンテンツはあるので、そういうものから文字に、小説に親しんでもらうのも、一つ入口というか土壌を広げる意味で、広がってほしい。出版業界の方にも切実にお願いしたい……。
 そうしてそこに行き着く前に、個人が楽しみでそれらに接する世界が広がってくれたらいいな、と思っているのでした。
 出版社に於かれては、なんなら依頼さえあれば稿料なくても実売印税で書くので、試しにやってみて欲しいくらいです。これだけ同人文化が市民権を得ている本邦なら、これはもしかすると業界を救う可能性だってあるのではないかと本気で思っています。複数冊同じものを買わせる為のおまけ商法じゃなくて、抜本的な土壌の開拓の一環として、如何でしょう。

 以上を持ちまして、小説が好きで映画が好きで本が好きで出版文化を愛する辺境の一文字書きのささやかな提案とさせていだたきます!
 もっとうまい事考えられる人はもっとうまい事やってください! 是非!!
 
 

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